Darker Matter

写真展展示作品

”Darker Matter=より深い闇”は自分のスピリチュアルな側面に関連する闇について表現した作品。生まれる前に属していた場所であり、いつか帰っていく場所でもある暗闇。心に常に潜んでいて、夜中になると呼びかけてくる暗闇。

Laid bare

写真展展示作品

オーストラリアの現在を描き出すポートレートシリーズ、“Laid bare=明示”。このシリーズを撮影するにあたっては、メディアやその他商業的に発信された情報によって作られた典型的なオーストラリアのビーチの風景から離れることを強く意識した。マックス・デュパインの1937年の作品”The Sunbaker”に象徴されるような、ブロンズ色に日焼けした筋骨たくましいアングロ・サクソン系の人物像ではなく、今の時代に生き、私たちと同じリアルな人間である人々の美しさを捉えたいと思ったからだ。

Tokyo Industrial

写真展展示作品

“Tokyo Industrial=工業都市としての東京”を撮影し始めた当初は、眠らない街の夜の神秘と世界最大の都市の活力源となっている工業の巨大な力に魅了されていた。しかし夜の闇に潜む風景を探しながら撮影を続けていく中で、自分が捉えているものの正体は人間を支配し破壊しようとしているケダモノであることに気がついた。この殺風景なディストピアは、人類が産業の発展の末に辿り着いた世界である。その業績、進化、生み出す力は素晴らしいものであるが、なお成長を続ける世界は人類の最終的な崩壊が始まっていることを示唆してもいる。

撮影中のある早朝、4時という時間にも関わらず連日24時間休みなく稼働を続ける化学工場の唸りと噴煙に包囲された自分が向かい合っているのは地球の消滅のサインであることに気付き、恐怖を禁じ得なかった。人の持つ征服欲、創造欲、そして支配欲は止めようがないことを恐ろしく思う。それらはこの地球を私たちが実際には望んでいない形の世界に変えてしまうだろう。そしてそれは取り返しがつかない。自分たちの作り上げてきたものの巨大さを享受する自分と、その意味するところに恐怖を感じる自分がいる。

Land of the Long White cloud

写真展展示作品とタイムラプスフィルム

“Land of the Long White cloud=長い白雲の国”を撮影したニュージーランドの南島は手つかずの美しい自然が残された、素晴らしい景色の宝庫だ。2回きりの訪問では島の上っ面をなでただけに過ぎないが、それでも感動的ないくつかの風景に出会うことができた。森に潜み、隙をみては血を吸おうと現れる鬱陶しいサンドフライを除けば、ここは完璧なパラダイスであり、また何度も訪れたい場所である。

Kamikochi

風景写真シリーズ作品

東京から数時間ほど離れた景勝地である上高地で撮影した風景写真シリーズ、“Kamikochi=上高地”。「日本のイエローストーン国立公園」と評されることもある地域だが、むしろ「自然のディズニーランド」と呼ぶべきだと思う。毎日、何千人もの観光客がバスで訪れ日帰り旅行を楽しむこの地には、素晴らしい自然の景色のすぐ隣にレストランやホテル、ショップが立ち並んでいる。

ある朝4時に日の出を撮影しようと外に出、氷点下の気温に手の感覚が全くなくなってしまったことがある。が、近くにあった自動販売機で購入した温かいはちみつレモンにより、問題はすぐに解決された。美しい自然と、多くの旅行者を支えるインフラストラクチャが完璧な形で共存しているのだ。

Transformation

写真展展示作品

宇宙における生命とエネルギーの満ち引きを表現したシリーズ”Transformation=変形”。生命エネルギーが気づかれないほど少しずつ、優雅に踊るように形を変えながら、新たな次元へと向かっていく様を短い旅にたとえ、作品に仕上げている。

生と死を通じてこの世界を出入りする生命エネルギーの移動と、その現象を取り巻く様々な答えのない疑問がイメージの源になっている。ピュアで超自然的ともいうべき瞬間の数々をビジュアライズしたことで、この作品を見た人々が美しくも奇妙な変成作用の目撃者となり、自らの物語を生み出していくきっかけとして感じてくれたら嬉しいと思う。

Born from the Stars

写真展展示作品

息子のエリヤの誕生をモチーフとしたシリーズ写真“Born from the starts=星から生まれて”では、生命、思い、そして存在そのものがもたらす奇跡を表現している。片方の手に科学の叡智、そしてもう片方の手にスピリチュアルな信念を抱き、そのバランスの中で様々な問いかけに向き合っているのが私たち人間なのだろう。人間、地球、そして宇宙が生を受けたという事実はかけがえのないものだ。息子の誕生により、私はその神秘に心を惹かれるようになった。私にとって、息子は銀河系の彼方から遣わされた王族のように思える。科学は、私たちの存在が10億もの複雑な仕組みの中の一つであり、脳から連なる神経細胞によって考え、書き、呼吸をし、話し、様々な働きを行なっていることを教えてくれているが、その事実そのものが謎に包まれた驚異ではないだろうか。エリヤの誕生と存在を描くこのポートレートシリーズは、まず宇宙が生まれそして人類が誕生したという考えについての私のメディテーションである。


Gravity

写真展展示作品

“Gravity=重力”は南オーストラリア州のフリンダース山脈の荒々しい美しさと、壮大な長さの時間に対峙してきた自然のスケールを捉えたシリーズ。地球上の複雑系生命と同じほどの長い地質学的歴史を誇るこの地の風景の中に身を置くと、自身の存在の短さに思いを馳せることとなる。宇宙規模で見た地球の変革や先史時代の山脈への侵食は全て宇宙全体に作用を及ぼす重力により引き起こされたもの。そこに絶えず変化する生命の本質を見る。この風景とそこで紡がれてきた物語が、人間の短い人生をはるかに凌ぐ大きな時の流れを感じさせ、新たな視点を与えてくれるのだろう。

Sydney faces

写真展展示作品

“Sydney faces=シドニーの人々"はシドニーという都市を形成する人々の顔に焦点を当てたプロジェクト。人類というくくりの中に存在する様々な違いを掘り下げたいという思いから取り組みを始めたが、撮影を進める中でこのプロジェクトが興味深い実験であることに気がついた。シドニーのような多文化共生都市で育まれた多様性が表現されていたのだ。時の流れの中のある一つのタイミングをシドニーで共有している人々を捉えたこれらのスナップショットが、歴史的な意味を持つ資料としてビジュアルタイムカプセルのような役割を将来果たすことになれば嬉しい。人々の共通点と相違点の両方を一つの文脈の中で表現することができたのは、素晴らしい収穫だった。